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花火

 投稿者:中也  投稿日:2017年 8月 8日(火)23時25分26秒
編集済
  さようならって
言葉を伝えられた別れは
想い出となって
レモンをかじった
感覚に何処か似ていて

其れに比べ
突然の
予期せぬ別れは
何の前触れもなく起こる
地震のようで
ただただ
不安と
喪失感が心を包むばかり

病室から
花火が見えたから
君と一緒に見たくって
細くなった
身体を抱きかかえ
窓際から
花火を君に

少し目を開けて
打ち上がる花火を
ほんの一瞬見たあとに

もういいわ
ごめんねって
か細い声で

あんなに
花火が
好きだったのに

ベッドに戻すと
少し苦しそうに
目を閉じたまま

病室に大きな音と
カラフルな色が
容赦なく君に
降り注ぐ
君のことを全然理解しないで

付き合い始めた頃
夏が来るたび
浴衣を着て
二人で出かけたね
花火大会に
君の
はしゃぐ声と下駄の音
人混みの中
繋いだ手の温もりは
今も

花火が君の生命を
縮めたって
思いたくないけど

一瞬の輝きが
永遠に続くって
信じてた

だけど
花火は儚い夢だった
僕たちにとって

病室で見た花火が
二人で見た
最後の花火となって
君はもう
二度と
目を開けることはなくって

あれから
僕は
花火を見ることができなくて
多分
もう死ぬまで見ることはないと
思うけど

だけど
花火の季節になると
考えるんだ

別れの悲しみを
生きる強さに変えようって
君の分まで
生きてやるぞって

生きるって
大変なことだけど

生きたくても
生きることのできなかった人の分まで
生きることかも知れないって

おそらく
今夜もどこかで
花火が
夜空を彩っていることだろう
いろんな人の想いを乗せて





 

ずるい子

 投稿者:  投稿日:2017年 8月 8日(火)21時45分21秒
  屋上は怖くない。夜だって怖くない。足を踏み外したら落ちてしまう、まっ逆さまに。見上げる星空になんにも投げれなくてただ視線を落とした。

重力がなければ僕はどこにいってしまうのか、いけてしまうのか、わからなくて怖いのはあんまり変わらないね。  月が妙に丸くぼくの喉元につかえているから叫んでもとれない。星が流れないから全然泣けない。
       ぼくを殺してしまうのが僕の愛だとさっき知ったんだ、いい加減に吐きそうなからだをちがうよって着ないワンピース。 外からみるのがすべてなら僕はいないしそれは僕じゃない。半ば言い訳じみてくる綺麗さを早く死ねって血を擦る。ばいばい。
来世なんてありませんように。


?
 

私と詩

 投稿者:ひなの  投稿日:2017年 8月 8日(火)21時00分3秒
  【Ⅰ】

私が自己を疑うのは
物事が上手くいっていないときが
多いような気がする

向けるあてのない猜疑心で
自分を解剖して
理解した気になって
少しだけ許せる気になって
からからと笑うのだ

現に今だって
実体の掴めない不安や不満が
私に命じている
思考せよ  と

【Ⅱ】

そういえば
思考するのは暇だからだ  と
誰かに言われたことがある

そうかもしれない
一生懸命に生きていれば
思考する暇などないのかもしれない

対偶をとれば

生きることに
一生懸命になれないから
私は思考する

ということになる

【Ⅲ】

私の脳が生きている限り
私と思考は切っても切れないし
思考する限り
詩を書き続けるだろう

詩と思考もまた
切っても切れないからだ
少なくとも
私にとっては

そう  つまり
私と詩とはそういう関係なのだ

心ひそかに宣言しよう

真面目に生きられない私は
詩を書くことにした
 

本当の言葉

 投稿者:きのうの月  投稿日:2017年 8月 8日(火)10時20分48秒
  飾らない言葉を

魂から出てきた
本当の言葉を

吐き出す

どうして苦しいのか
何を言いたいのか

胸の真ん中あたりに
探りにいく

魂は

儚い現実とは逆の
強く 確かな言葉で
その本当を
教えてくれる
 

手元の標本 はるかなる本物

 投稿者:あさぎメール  投稿日:2017年 8月 8日(火)07時13分33秒
  時は経た
けれど
その瞳は変わらない
ただただ
正面から僕を見つめる
何にも発信しない
受信もしない
見つめられると
怖い
閉じ込められたみたいだ
それがうれしい

暗闇の中
自分が1人いるだけ
強制的に自分を感じさせられる
”ああ、まだいたんだ ぼくは”と

看板の明かりが煌々と輝く
嘘っぱちの夜が長くなった
そんな時
風を聞いた
君が残りの瞳を失ったと
いや
君が誰かに瞳を譲ったと
君は待っていたのかい?
再び僕のような人間に出会うことを
完全な暗闇を欲したのかい?
自分すらそこにはいない永遠に続く世界

昔、君からもらった瞳は今も僕を見つめているよ
 

サマンサ

 投稿者:緋奈  投稿日:2017年 8月 8日(火)06時03分31秒
  サマンサから
手紙が来た
小学校のとき以来
十年ぶりだった
僕に会いたいという
八月八日
祭りの日
午後五時
待宵草駅前で
そう書かれていた

祭りの日
降り立った駅前は雨だった
約束の時間まで
あと三十分あった
僕はふと目に留まった
向かいの道沿いの洋品店で
雨宿りをすることにした

洋品店の店主は
翡翠の眼のマダムで
マダムは
サマンサを知っていた
たびたび
店を訪れるという
買って行くのはたいてい
白いワンピースだということだった

ふと時計を見ると
約束の時間まで
あと十分だった
僕はマダムに礼を言い
店を出ようとして尋ねた


サマンサが
今どこで
何をしているのか
ご存じありませんか
マダム


マダムは
一瞬
顔を曇らせた


あの子が
今どこで
何をしているのかは言えないが
ただ
この先の一角に
いかがわしい宿屋が立ち並んでいて
あの子は
近くに住んでいる
そう
マダムは言った

僕は
それ以上は聞かずに
店をあとにした

外に出ると
雨は止んだようだった
僕は道路を挟んだ向かいの
駅前を見渡して
その面影を探した

信号が青に変わり
他に渡る人のない
横断歩道を行く

湿度を帯びた風に撫でられて
卒業式の校歌が
かすかに響いた





 

ふたつの真珠

 投稿者:タルコンティ  投稿日:2017年 8月 7日(月)23時56分45秒
  そっと扉を開けてごらん

闇に浮かぶ眩しい裸体

振り返られぬ真珠がふたつ

忘却の館に墜ちてきた

ぷくんぷくんと泡を吐き

生まれた海を夢見てる



貴サイト5回目の投稿です。
 

蛹のままで

 投稿者:澤 一織メール  投稿日:2017年 8月 7日(月)20時05分1秒
  蛹のままではいたくない
そんな気持ちを抱いて
家を飛び出し
行く宛もなく
ただ 前に広がる道を歩いてきたけど
三週間もすれば
後悔を覚え始めていたんだ

知らない集落の川のほとりで
せせらぎを聞きながら
ごつごつとした石の上に身を預けて
今夜も寝袋から流れ星を掬ってみるけれど

暗がりに浮かぶのは
あれほど遠去けたいと思っていた
人や街の輪郭で
その表情は穏やかに
瞼を抱きしめるから
今まで気にもならなかった
虫の声や木々の揺れる音に
体を固く 縮ませてしまう

このまま 目を閉じて
夢も見ずに眠れたとしても
朝陽とともに目覚めれば
財布の中身よりも
来た道を振り返ってしまう
いや  引き返すのだろう

もう それでもいいのかもしれない
誰に伝える訳でもないのに
欠伸混じりに声に出して
水面を眺めていると
日中 無人の集会所に掲示板で見かけた
七夕祭りのお誘いチラシを思い出した

   八月七日は七夕祭りです
   町内の皆様は
 各自 短冊を持って
   集会所に十八時にお集まりください

あとで知ったことだが
地域によっては七夕の日が
八月七日という場所が全国にはあるらしい

明日  集会所へ向かおう
草臥れたメモ帳サイズのノートを
引きちぎって

今ならきっと
難しく考えることなく
短冊に想いを書けるだろう
家を出る前から
ずっと探し求めていた
その答えを

心細さにわずか 明かりが灯るよう
水面の上で揺らめく 蛍の光りを見た
 

雨音様へ

 投稿者:葉月 祐メール  投稿日:2017年 8月 7日(月)00時37分2秒
編集済
  ご多忙の中恐れ入ります、
『セロリとじっちゃん』の初連を修正させていただきました。
よろしくお願いいたします。

8/7・追記
終行の修正を追加で行いました。申し訳ありません。
 

セロリとじっちゃん

 投稿者:葉月 祐メール  投稿日:2017年 8月 7日(月)00時27分28秒
編集済
  有名な歌が流行るより
ずっと ずっと 前から
セロリが好きだった じっちゃん

あなた程セロリが好きだった人を
わたしは他に知りません


あなたと 幼いわたしが
朝ごはんを一緒に食べていたあの頃
あなたの側には 必ず
セロリが丸々一本
用意されていて

今でも匂いに慣れないし
苦手な食べ物だけれど
あなたが美味しそうに
セロリを頬張る顔を見たり
食べる音を聞くのが
わたしは大好きでした

『ショリッショリッ』
と響き渡る
軽快な咀嚼音
あなたが無言になる間は
子供だったわたしも
一切おしゃべりはしなかった

幸せそうなひと時を邪魔したくなかったのです


そんなあなたが
病に倒れてからは
少しずつ記憶を失い
大好きなセロリの事まで
忘れてしまっていて
もうあの音を聞けない事も
なんとなく 理解できた時

何も 言えなくなりました

それなのに
他の何を忘れても
じっちゃんがわたしを覚えていた事
思い出すと 今でも
今も 泣きそうになるんです

あんなに大好きだったセロリよりも
更に大好きなものが
自分だなんて 思いもしなかったんです


  どれだけ嬉しかったか
  じっちゃんを大好きだったか
  少しでも 伝わっていたかな


今でも
有名なあの歌を聴くと
野菜売り場を通ると
あなたの事ばかり 思い出します

あれからお盆が来る度に
お供えにセロリを
あげて良いものかどうか?
と 密かに悩むわたしを

もしかしたら
じっちゃんは笑っているのでしょうか
もしもそうなら
株ごと セロリを買ってきましょうか


  それがあなたを 笑顔にするのなら


 

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