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だるまさんがころんだ

 投稿者:鈴鳴すずしろ  投稿日:2018年 9月14日(金)00時19分46秒
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  スクランブル交差点の真ん中で
立ち止まって振り向いた
人々は淀むことなく歩き続けていて
歩行者用信号機だけが
私を急かすように明滅していた

駅のホームで
今度はゆっくり振り向いた
スーツの青年は駆け足で階段を登り
パーマのおばちゃんは大笑いの電話
反対のホームの快速電車は
止まることなく走り抜けて行った

黄金色の田んぼを
私は真正面から見つめていた
風の足跡が稲穂を揺らして
私はすかさず叫んだ

だるまさんがころんだ

風が突然ふわりと消えて
置き土産に私の麦わら帽子をほんの少し浮かせた
後には佇む稲穂の群れと
空を舞う秋赤音が残った
止まることの無い一瞬を
私は確かに捕まえたのだ

頬を北風が小さく凪いだ
慌てて振り返ると
風の足跡はいつの間にか田を飛び越えて
山の向こうへ走り去ろうとしていた
 
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