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手の記憶

 投稿者:夏生  投稿日:2018年12月 8日(土)15時46分24秒
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  手の甲
青い枝が張り
干上がった
細かい網の目

手の平
細い線走り
生命線うすくのびて

母の手に似てきた
と、ぽつり
声も仕草も
どっこいしょ
の口癖も

心の中に母が
宿って五年になる
かなしみも
さみしさもなく
留まっている

思い出すより先に
現れる
母の断片が
指先から
声音から

思い出すより先に
母の思いが溶けだして
ひとつの答えになる

母の晩年
絆創膏だらけの手を見て
私は何を感じたか

背中を一晩中さすってくれた
夜のこと
一度や二度ではなかった
あれは、今も…

母の手を見て
私は何を感じたか
記憶が旋回して
迫ってくる

癒しも願いもなく
ただ
小さく震えていた
私の手は動かなかった

人は
かなしくして
泣くんじゃない
悔しくて泣くの

母の言葉が伝ってきた

 
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