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救われない事こそが救いなのだと

 投稿者:黒実 音子メール  投稿日:2019年 1月12日(土)23時12分27秒
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  墓地の孤独な風の音を聞いている

遠い海の彼方から運ばれてきた潮と、
話さない死の香りを嗅ぐ

ムール貝が!!
ムール貝が死者達の魂を
ついばんでいるのだ

橈脚類の骸の上で、
それらは汚物のように固まってゆく

そして、それは
農業組合の男達の脱税に使われた
たくさんのナンキョクガニ達の住処となるのだ

もはや手遅れなのだろう・・・

我々は致命的な罪ではなく、
惰性な罪により、楽園に行く事ができない

聖マラトン病の患者よ
教えてくれ
お前こそが真実なのか?

ならば
許してくれ女よ
許してくれ友よ
許してくれ見知らぬ他者よ

ああ、我々は生きる事だけで精一杯だったのだ!!

往け!!
孤高に生きる女よ

病すらも友とし、
魚の屍を土に埋め、
我々の見えない所へ行くがいい

二度と会う事はない

おまえはおまえの清い水を探せ

その時、魚の屍が爆発した!!

私は期待したのだ
その時。
ほんの一瞬だったが・・
期待したのだ

女も、もしかしたら、
期待したのかもしれない

だが、やはり無駄だった

ムール貝は、
今日も死者達の魂をついばんでいる

彼女の事は、もうすっかり忘れてしまった
永遠に。

しかし、それでも
真実はあるのだろう

いつかは浄化される時が来るのだ!!

どんな汚いものにも、
救いようのない腐敗した海藻にすら
主の王国の栄光の光は
ふりそそぐのだから

ならば良しとしようか
敵という名の友人よ
苦労性の女よ

笑え、不幸で幸せな役者達!!

救われない事こそが救いなのだと・・
神はいないからこそいるのだと・・
溝鼠のような救えない愚か者すら
いつか気づく時が来た時に、

死者も、ムール貝も、愚か者も、
女も、私も、腐敗した海藻も、
杯を交わし、
ようやく互いを許す事を讃えるのだ
 
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