新着順:283/17674 記事一覧表示 | 《前のページ | 次のページ》

空色の海

 投稿者:九丸(ひさまる)  投稿日:2020年 6月 2日(火)03時45分29秒
  通報
  「今日の海はとっても青いはず」
雲一つない
澄んだ空を見上げて
きみはそう言った

だからぼくは言わないことにした
「あの工場の赤白ボーダー煙突ってさあ、タバコみたいだよね。まあ、気持ちよさげにプカプカと」
そんな言葉をはいた瞬間
責められるのはわかっている
無粋だ、情緒がないだのと
キッとぼくを睨みつけながら
ぶつけてくるはずだ

「だったらさあ、確かめに行こうよ」
少し間を置いたぼくの言葉
「いいね! そうしよう!」
間髪入れないきみの言葉

ぼくらは歩く
タバコ煙突の先にある
海を目指して
雲のかわりに流れる
煙を追いかけて

「白い煙がこんなに栄えるんだから、
きみの言うことはきっと正しいよ」
今になって
そんな言葉が浮かんできたけれど
言わないでおこう

どうせすぐに
わかることなのだから

空色の海が
ぼくらを待っているはずだ
 
》記事一覧表示

新着順:283/17674 《前のページ | 次のページ》
/17674