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私には私にしか見えない空がある

 投稿者:こたきひろしメール  投稿日:2018年 7月18日(水)09時00分17秒
  自分も激しい陣痛に圧し出されたのかな
母親の産道から抜け出た日に浴びた光は今は何処に
あるんだろう

その時にあげた産声は周囲の空気を振動させて
今ごろは音を伝えない宇宙の果てまで
行ってしまったかも解らない

あの日は帰らない
あの時には還れないから

一人分の命が完了するまでは
誰にもバトンは渡らない

なんだよそれは
意味解らないだろう
到底 人の
理解の及ばないところに真実は有るって言いたいのか?

否応なしに過ぎていく歳月
未成年だった日
総武沿線の錦糸町で初めて場外馬券を買った私は
的中して泡のように大金をわかせた
悪い大人の甘い言葉にそそのかされて
初めての給料を注ぎ込んだ結果だった

その日は
手に入れた身に余る金を持って楽天地で映画を観た
「青春の門」を観た
映画に刺激されて浅草に行った
酒場に一人で入った
バーのカウンターに座ると女の人が横の席にきた
私の顔を見ると困ったような顔をした
「大丈夫です、お金はちゃんと持ってますから」
私は女の人の不安げな顔に安心の釘を打ち込もうとした
「お金の心配もあるけれど、お客さん年いくつなの?それが怖いからさ」
と女の人は訊いてきた
「ちゃんと二十歳過ぎてます」
私は嘘をついた
暗くて怪しげな店内で女の人は探るような目で私を見てきた
「マスターに聞いてみるわ。Ok でたらいいけど、ながくはダメだよ。ここはお客さんみたいな人が来る所じゃないからね。」
女の人はまるで姉のような口の言い方をした
女の人のきらびやかで露出の多い服装はそんな言葉の重みを打ち消していた
店の奥のいちだんと暗いところでスーツを着こんだ中年の男は女の人の話を聞いている様子だった
私の方を盗むように見た

女の人は私の横の席に帰ってきた
良いって言われたわ
でもここは高いわよ、大丈夫?
それを言われて、幾ら競馬で儲けたと言っても私は不安になった
嘘よ。銀座ならともかく浅草だからさ、と女の人は答えた
それで、
競馬で儲けたからと私は言ってしまった

そう良かったわね。女の人は私の幸運に気のない返事をして返した
それから
何を飲むの?と初めて注文を聞いてくる
「ビールでいいです」
私は迷わずに頼んだ

私には私にしか見えない空がある
私なりの
晴天
曇天
雨天がある

一目惚れの多い私は行きずりの女の人にだって簡単に心を盗まれてしまう癖が有った
若い頃の癖は今もかわらない

人の本質はかわらないままにゴールに
滑り込むんだ
滑り込んで倒れるんだよ

 

雨音のメロディ

 投稿者:ゆき  投稿日:2018年 7月17日(火)21時31分8秒
  いつからか
その冷たい手に触れて
心が覚めていくのを
感じた時に

涙が止まらない

確かにあった
大切にしていたものを
失くしていく

そんな想いを繰り返しては

慣れたはずの静かな夜に

雨音のリズムに
合わせて口ずさんで
一人でいる時も

涙が止まらない
 

 投稿者:あさぎメール  投稿日:2018年 7月17日(火)19時52分43秒
 
どうしてやわらかいの
どうして白いの
どうして消えてしまうの

たどたどしいほど
胸が苦しくなる
ブラックホールに持っていかれる
そんな感じ

現在地
空を仰いでも
ブラックホールを覗いても
答えは出てこない

季節がまわって
年を重ねて
いつか掴む答え
それは
やわらかい?
色は?
ある?
それとも
ない?

季節がまわって
めぐり合う

それは
どんなだろう?
 

島秀生様

 投稿者:夏生  投稿日:2018年 7月17日(火)10時58分13秒
  島様、拙作「足がでっかくなった」に名作との評をくださいまして、ありがとうございます!

とてもうれしく思いました。驚きました。

何度か書いては消し、書き直しをくりかえし、まだまだ書けない、書けていないと思って。

とても丁寧にお読みくださり、読み取ってくださいまして、ありがたく、うれしく、島様からの評を何度も読み返しました。

大きな励みになりました。これからも精進致します。
 

イオンモール土浦には

 投稿者:こたきひろしメール  投稿日:2018年 7月17日(火)06時59分27秒
  夫婦でイオンモール土浦に出掛ける度に十歳年下の嫁さんは一番に一階のペットショップを見たがる

たしかに猫や犬は可愛い盛りだ
変な例えだが江戸時代の女郎屋を想像してしまった
一夜を買って貰わないと
もしかしたら店の主人から折檻を受けるかもしれない

若い頃
五木寛之の「朱鷺の墓」を読んだ事がある
ヒロインが数奇な運命をへて娼婦まで身を落としながら一途に一人の男に思いを捧げる物語だった
体は沢山の男に汚されながらも心は美しく有りたいと切に願う女の物語だった

と記憶しているが今は曖昧模糊になってしまった

イオンモール土浦に夫婦で出掛ける度に嫁さんは一番にペットショップを覗き込む
猫でもいい
犬でもいい
どちらでもいいから欲しがっている嫁さんを見ているといとおしくなって買ってやりたくなるけれど
それを買ってやれない私は不甲斐ない男なのだった

だけど私の人生の辞書には
生き物を金で買うなんて有り得ない
第一
家には知人から頂いた猫がいる
無償で貰った猫がいるじゃないか
それで何が不満なんだ

とは
嫁さんに言えない
私は不甲斐ない男だから

そんな私でも知識として持っている
もしガラスケースの中で売りに出されている猫や犬の
売れ残りの先の運命が
どんだけ残酷なんだかと言う事を

夫婦でイオンモール土浦出掛ける度に嫁さんは一番にペットショップを覗きたがるけれど
私はNo を突きつけたかった
のにそれを口に出来ない
不甲斐ない男だった
 

時の彼方に

 投稿者:耀子メール  投稿日:2018年 7月17日(火)06時21分34秒
編集済
  少しずつ明けてゆく朝のしじまに
囀り始めたばかりの
小さな小鳥の声を聴くときも
だんだん沈んでゆく夕べの草むらに
かすかな虫の音を聴くときも
私の心には哀しみが宿る

過ぎ去ったものは
余りにも多く
濃く薄く
私の記憶の中で
留まっている

あれほど 楽しかった時間も
仄かな暖かさを残していてくれているだけ
あれほどの悲しみや苦しみさえ
苦みをともなった懐かしさを
私の中に残してくれている

楽しかった あの時あの日を
思い浮かべるとき
自然に頬は緩む
幸せなときを有難う
と 呟く

また
懐かしさというオブラートに
包んだ悲しみや苦しみが
時々そのオブラートを溶かして
滲み出る
それは静かな哀しみとなって
私の心にひろがってゆく

囀り始める 鳥の声や
奏でられ始める 虫の音が
そのオブラートを溶かすのだろうか

朝の 夕べの デッキの椅子に
目を瞑り
揺れ動く感情に
身を委ねる時
もう
激しい感情に揺さぶられることの少なくなった
私を感じている
静かな気持ちで
多くのものを受け入れている
私を感じている

淀川長治『映画音楽館』に
納められている
古い映画音楽をかければ
そこには
ジェームス・ディーンがいる
オードリー・ヘップバーンがいる


 

木乃伊の夢

 投稿者:小林大鬼  投稿日:2018年 7月17日(火)01時57分4秒
  白き布青き毛布で包まれて
なぜか笑顔で運ぶ看護師達
葬儀者が部屋を案内する

扉を出た時には
台には布だけしかなかった

生の重みから解き放たれ
仏は穏やかな死顔になる
 

廃屋の奈津子

 投稿者:沢口リリキメール  投稿日:2018年 7月16日(月)17時19分26秒
  胎児よ
胎児よ
何故躍る
母親の心がわかって
おそろしいのか
   『ドグラ・マグラ』冒頭より 作者:夢野 久作


「朝の陽光が痛かった。いつものようにバス停の陰に隠れた。明るい空は見たくない、いいえ見られない。外の世界にわたしは必要ないことを知らされた。ママがわたしを遠ざけ見捨てた理由を訊いたところで何だというの?何も変わらない、もう変われない。「あんたを産んだから私の人生が台無しなのよ!」折られた存在の翼。眩しい光の敷き詰まる白い夏の通学路。そこを辿れば何処に出るというの?「それでも高校生は学校を卒業すべきだよ」担任教師のようにバス停が大声を出す。希望は持っていない、いいえ希望を持ってはいけない。うずくまってばかりの耐え難い現在。その先は見えない、いいえ見えるはずがない。みぞおちの辺りでうごめく生の塊を両手で抑えバスが来る前に道向いの雑木林の奥へ逃げ込んだ。小暗い林道を通りお寺を走り抜け森へと続く小径を急いだ。そこには誰も知る由もない蔓に覆われたお家がある。奈津子はそのお家の主。私は唯一の訪問者で無二の親友なの。彼女の部屋で最後の一日を過ごしましょう。たくさんお喋りをして夜が来たら儀式を始めて違う世界を夢みましょう。秘密の数だけ扉を叩くと奈津子は現れ丁寧にお辞儀をした。それから蔓草で編んだ縄を使ってママの気を引く踊りを教えてくれました。必ず気にいる踊りだとにっこりと微笑んでくれました。わたしの心の内をわたしよりも知っていたかのようににっこりと微笑んでくれました。」



奈津子、遅刻するわよ
ママの声で目覚めた
ママ、私を産みたくないと少しでも思った?
突然、何を言い出すの
無いに決まってるでしょ
でも時々不安に押し潰れそうになったわね
するとあなたはお腹で躍りはじめたのよ
小さい力で健気に
まるでここにいるよと知らせるように
躍動してると感じたわ


ママ、ねえママ
奇妙な夢を見たの

とても、とても不思議な
ママのお腹にいた頃の夢‥‥‥


 

親愛なる君へ

 投稿者:葉月 祐メール  投稿日:2018年 7月16日(月)16時59分12秒
編集済
  美しい夕焼けを眺める時
夜空の瞬きに見惚れる時
朝靄の揺らぎに気付く時

君が 私の前に現れる

たとえば私が怠けたり
自分から逃げ出した時は
君もまた 隠れてしまう
私から 離れていってしまう

  私は君であり
  君もまた 私

出逢ってからずっと
目を背けた時
ズルをした時に
真っ先に怒るのは
他ならぬ君

  誰よりも厳しく 手強い存在だった


下手でも良いから
自分の言葉で描いてくれと
今も君が目の前にいる

借りた言葉では
君を描けなかったし
私の言葉でなければ
君には ならなかった

今日も 君と向き合いたくて
出逢えた一瞬や感動を
覚えていたくて

  手癖が浮かび上がる程 君を描いている


自分さえ知らずに
手ぶらのままで
君と歩き始めてから
三度目の夏が来た

次の季節が来ても
何が起きたとしても
私は君について考えるだろう

君に出逢い 君に恋して
こうして共にある今が
いつまでも続けば良いと

願い続けて生きていくだろう


  親愛なる 君へ

 「この恋を胸に、
  過ぎた日を、今日を、
  明日を描きながら、
  私は今を、生きています。」


君を探しながら 私を見つけに行くよ






 

島 秀生さまへ。

 投稿者:葉月 祐メール  投稿日:2018年 7月16日(月)16時19分47秒
  島さん、

天気予報を毎朝観ていて、心配になる程の暑さの中、
ご批評、評の打ち込みなど、本当にお疲れ様です。。。

「ふたつの幸せ」へのご感想、終行へのアドバイスを、ありがとうございました。
終行へのご指摘、とてもありがたいです。硬さを感じさせないものを書きたかったので、手元の稿は終行、修正させてもらいます。

小さな頃は今よりも、幸せ探しが得意だったように思います。もちろん、大人になっても変わらずに得意な方もたくさんいらっしゃって、そんな人たちには、素直に憧れます。
幼い自分の言葉で言えば、みっつもよっつも幸せで、今の自分は、そこかしこに幸せのかけらはあるよと、言いたいです。そう思って、日々を過ごしたいものです。

三つ葉の群れを見かけるだけで、心は昔に返り、それだけで嬉しくなる今の自分=かつての母の歳、です。母もこんな気持ちで、三つ葉の群れを眺めていたのでしょうか。
いつかこっそりと聞いてみたい事です。

感じてくださり、また、名作との評まで、ありがとうございました。
 

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