<思いやりのあるコミュニティ宣言>
 teacup.掲示板は、皆様の権利を守りながら、思いやり、温かみのあるコミュニティづくりを応援します。
 いつもご協力いただきありがとうございます。

 投稿者
 メール
  題名
  内容 入力補助画像・ファイル<IMG>タグが利用可能です。(詳細)
    
 URL
[ ケータイで使う ] [ BBSティッカー ] [ 書込み通知 ] [ 検索 ]


かたち

 投稿者:深尾貞一郎メール  投稿日:2021年 5月 8日(土)23時19分50秒
  ポケットの財布には数百円のコインがある。
私はふだん、高額な現金をもたない。スマートフォンで支払える時代だ。

自分の限られた時間を切り売りにして得たコイン。いのちの破片をかたちにしたものかも知れない。

有料道路の料金収受員をやっていたころ、毎日たくさんのコインをかぞえた。現金と回数券、プリペイドカードの決済をした。

通ったお客さんの数だけ挨拶をした。千台通れば千回、おはようございます。こんにちは。こんばんは。
コインやお札をうけとり、領収書とお釣りをかえす。
回数券やプリペイドカードを販売すると、あせって高額の釣銭ミスをすることもあった。

制帽に制服は、鉄道会社の職員のような格好だった。
徐行運転、一旦停止をお願いしているが、スピードを落とさず入って通る車もいた。先輩の職員のなかにはお客にどなる者もいた。
いいかげんに仕事をすれば、すぐにきびしい反応がくる。釣銭のミスはよくあることだが、勤務態度がわるいと苦情がくることもある。




蒸し暑い夜だった。6番ブースは他と離れていて19時を過ぎるとほとんど車が来ない。
ひとり、ラジオもつけずに座る。コンクリートのひさしについた蛍光灯が道を照らす。
道路脇の薮から蛇が這い出てきて、偶然に通った車に頭を轢かれた。輪をつくり、のたうつ。

しばらくして、羽虫が大量に湧いた。ブースの扉を閉めるが、ガラス窓にびっしりとくっついた。殺虫剤をまいて散らした。
22時には無料開放になる。ブースに鍵を掛けて立ち去った。




記憶の底にいろんな出来事がたまっている。職員たちの顔と会話。あたりまえにあった景色。

早番のときは4時半起き。深夜勤のローテーションもある。
早朝に半分くらい眠ったままで仕事をしたとき、ブースの横に車がとまったのに、うつらうつらしていてお客さんに怒られた。

正月とお盆には汗だくで、2千、3千の人からコインのかたちをしたいのちの破片をもらった。
それでも楽な仕事だった。
給与は安いがひとりでブースにはいった日は、CDをもちこみ、コルトレーンを鳴らした。

布袋には金種別にコインをつめる。片手で持つとけっこうな重さだった。
 

ある日

 投稿者:はるきよ  投稿日:2021年 5月 8日(土)23時09分31秒
 
ふと時計を見る
針は絶え間なく動き
時を進めていく

一時間は案外短いかもしれない
慌てて飛び起きる



ふと空を見る
いつしか桜は散り
新緑が5月を知らせる

一年は案外短いかもしれない
締め切り間近の仕事に手をつける



ふとテレビを見る
外国では今日も
戦争で人が死んでいる

一生は案外短いかもしれない
明日することを考える
 

アップロードの向こう側

 投稿者:るり なつよ  投稿日:2021年 5月 8日(土)03時27分40秒
  風光明媚な場所に出向き
SNSに写真をアップロードするのが
好きだった

<映えそうな>景色に出くわすと
これはチャンスとばかりに
スマートフォンを取り出し
撮影ボタンをタップ
位置情報と共に写真をアップ

いいね!に
コメント
リツイート

リアクションを示す
種々の動きにそわそわ

やがて
世の中は
人の流れを抑えなければならなくなり
今では
すっかり出番が乏しくなったカメラのアプリ

延々と続く待ち時間
自然と
ログインの頻度も減ってゆく

慰みに
アルバムのアプリに
ずらりと並ぶデータ写真を
一枚ずつ左にスライドさせる

種々のリアクションに
大なり小なりのさざ波を立て
<既読スルー>の気配も感じながら
幾度となくアップロードしてきた
その理由を探すかのように
遡らせる景色の数々

外れてゆくフィルター

真っ青な空に映える夏の連峰
光の粒が散りばめられた一級河川
今にも神々が舞い降りて来そうな
緑にむせかえる峡谷

やがて
写真は最も古い一枚にたどり着く…

時間旅行を終え
アプリを閉じてひと息

いつの日か
行きたい場所に行ける世の中が戻り
風光明媚な場所との再会が叶ったなら

スマホに手を伸ばす前に
そのままの景色の中に
溶け込んでしまおう…
 

鳥籠

 投稿者:ゆうひ  投稿日:2021年 5月 7日(金)15時24分44秒
  君の隣に腰掛けたあの世界は
夜の闇すら白く明るく透き通るほど
途方もなく広い世界が小さく見えるほど
わたしのことをぎゅう、と閉じ込めた

それなのに今

一人ベッドに横たわるこの世界は
電球の光さえ煩わしく遠のき
狭い部屋ですらぽつりと孤独を感じるほど
わたしのことをそっと、手放してゆく

わたしは自由になりたい。

誰かに必要とされて
誰かを必要として

誰かの鳥籠の中で羽根を伸ばして
誰かの鳥籠の中でさえずり
誰かの鳥籠の中ではばたく

そんな自由がほしい。
そんな自由なのだ。
 

 投稿者:妻咲邦香メール  投稿日:2021年 5月 7日(金)11時56分9秒
  掌からはみ出すくらいのハードカバー
私の選んだ人生が詰まってる
鞄に入れないで小脇に抱えたまま
薄暗い林を抜けて
歩く道はいつだって自分で決めて来た
そう教えられて、そう諭されて
最近それが和らいだ気がするのは
出会いから学べる何かが
輝いてそうに見えたから
そう、あの木漏れ日みたいに

陽炎に大地のシーツがうねる
歌うように舞い踊る土埃
そんなに透明じゃない私の心を嘲笑いながら
水面がさざ波を立てる
朝には朝の仕事があり
キツツキにはキツツキの仕事があり
私には私の仕事、こなすだけ坦々と
それがこの地で与えられた宝物だから

誰かが落とした栞、拾い上げて草に横たえる
どれだけ経験を重ねても私は至らないまま
年を取り続けるだろう
世界に1つしかないものに目もくれず
世界にいくらでもあるものを奪い合う
そんな日々の繰り返し
私は私の気持ちを風の合間に挟み込む
そんな姿を嘲笑いながら
水面がさざ波を立てる
それから次は何処へ行こう?
 

一日

 投稿者:エイジメール  投稿日:2021年 5月 7日(金)08時52分7秒
  今日は頑張った
一日やりきって
終わった

体重調整もうまくいった
少し苦しかったけど
透析にも耐えた
透析後 引きずる
苦しみにも耐えた

うるさい車も
来なかった
眠剤を飲んで
ひと眠りできた

今日は頑張った
一日やりきって
終わった
 

透析前

 投稿者:エイジメール  投稿日:2021年 5月 7日(金)08時51分21秒
  図書館の階段に
どっかと腰を下ろす
そしてポケットか
鞄のなかから
缶コーヒーをとりだす

「ポカッ」
缶を開ける音が
館内に小さく響く
朝この時のために
ずっと我慢してきた
至福のとき

虚空を見つめ
しみじみと
これから起こること
透析室でのこと
体重を測るときのこと
味わうであろう
透析の苦しさを想う

飲み干すと
今度は鞄から
一冊の詩集を取り出す
ほんの少しの一杯の
缶コーヒーを飲んだだけで
落ち着いて
じっくりと
詩集の詩を味わえる
次々と詩を読んでいく
ページをめくっていく
どんどん頭に入ってくる

おっと
12時53分だ
もう病院に行かなくちゃ
重い体を持ち上げて
階段を下りてゆく
 

AFTER HOURS

 投稿者:三浦志郎メール  投稿日:2021年 5月 7日(金)04時56分30秒
  今夜のサーカスはおしまい
客はもう誰もいない

娘は煌めく衣裳のまま
余韻を楽しむ
一輪車でステージを くるくる回る


(踊りもアクロバットも
  初ステージをパパに褒められた
 このコスチューム もう少しこのままで


まだ照明が落ちないのも父のご褒美か
嬉しくて
リングを高く上げ くるくる回る


(明日はテントをたたんで旅に出る
  次はテキサスのダラス
  どんな街 大都会?


そんな彼女を男が見ている
一番の道化師 ピエロ

しかし陽気を呼び込む男が
とびきり善人とは限らない
そんな視線が彼女を追っている
不可思議な笑みを浮かべている

笑いの裏にある奇怪について
あの娘はまだ知らない

ふと通りかかった娘の父が
ピエロの後ろ姿を見つめている

定めの風のように
一座の旅は続く

 

終末の始点

 投稿者:蓮見 丈メール  投稿日:2021年 5月 7日(金)02時03分49秒
  コンビニの駐車場や
マンションのごみ集積所
時にはスズメの学校や
メダカの学校の通用門付近にも
遺棄されている
骨が皮を突き破っていたり
皮の大半が
剥ぎ取られていたりする
惨たらしい遺体

誰が何のために
あんな半人半獣の僻みような
先端恐怖症を野放しにする
目のやり場のない
尖った真似を仕出かしたのか
よほど深い恨みか
アロマでは抑え切れない程の
鼻につく自慢をされでもしたのか
とにかく尋常な人間の所業とは
思えない有様である

そうして何日か経つと
透明なハエが
静寂を掻き消す羽音を立てながら
辺りを飛び回るようになり
やがて熟れて
筋金が赤茶色に変色した
透明な肉から
透明な蛆が
津波のように湧き出し
時間をかけて懇ろに調整した虹彩を
一瞥で台無しにしてしまう

ただ不思議なのは
こうした惨状が見られるのは
決まって
暴風雨が過ぎ去った
後の事なのである

だからあれは天災のような
気がしなくもないが
しかし万が一にもあれに人間が
加担しているとなれば
あれはやがて
文明の滅びの予兆ともなるに
違いないのである

なぜなら天に抗うことを忘れた
人間はもはや良心を寝かし付けた
呵責の室に明かりをともすことをも
失念してしまっているに
違いないからである
 

ピロットさん

 投稿者:島 秀生メール  投稿日:2021年 5月 7日(金)01時25分24秒
  了解しました。

なるほど・・・、距離があくと、見落としそうやね。
気をつけときます。

 

/1993