<思いやりのあるコミュニティ宣言>
 teacup.掲示板は、皆様の権利を守りながら、思いやり、温かみのあるコミュニティづくりを応援します。
 いつもご協力いただきありがとうございます。

 投稿者
 メール
  題名
  内容 入力補助画像・ファイル<IMG>タグが利用可能です。(詳細)
    
 URL
[ ケータイで使う ] [ BBSティッカー ] [ 書込み通知 ] [ 検索 ]


月夜

 投稿者:秋さやか  投稿日:2021年 9月22日(水)08時11分48秒
  月明かりの照らす
青く湿った部屋

あなたの寝息に呼応して
膨張していく
まっしろな壁

まるで窓の向こうは
海だったような
気がして
喉が渇く
(カーテンを開ければ第二病棟のはずだ)

あなたは
息を吸いながら
水を飲んでいるのと言った
わたしも試してみるけれど
口内も
鼻腔も
あなたの匂いに満ちるだけで

もしかしたら
あなたそのものが水なのではないか
閉じられた瞳は
海へ還っていこうとする
河口の色をしているのではないか
などと
不安に駆られ
横たわるあなたの
なだらかな腰を
そっと撫でてみる

指先はたしかに触れているのに
とても遠い

月の裏側の感触
あるいは波の裏側の感触

月明かりを全身に浴びながら
青い眠りに溶けているあなたは
故郷の山脈のように
わたしの視界を支配する

海に月が沈む
その瞬間を閉じ込めた瞳に
わたしが還るまで
 

評ありがとうございます。

 投稿者:おおたにあかり  投稿日:2021年 9月22日(水)07時33分57秒
  斎藤様。

おはようございます。
丁寧な評を頂き、ありがとうございます。
今回は、かなり不安に思いながらの投稿でした。
過去の記憶、暗い気持ちも共に思い出され、
詩作する時に、その暗く重たい気持ちばかりが
出てこないようにと、前向きなものに仕上げたかったからです。
斎藤さんにも、そんな過去があったのですね!
しかも、年齢も同じ!!
私の周りには、同じく学校に行けない子はいましたが、
詩を書く子は居らず、
「詩を書いている」と友だち(同級生)には、
なんだか、気恥ずかしくなかなか言えませんでした。
でも!!!
そんな過去があってからの「現在」。
齋藤さんもずっと書き続けておられますもんね!
評を読み、またまた励まされ、
落ち込みがちだった気持ちが、
前向きになりました。
佳作もありがとうございます。
ひらがな、気をつけます。
そして、MYDear、
指導してくださる齋藤さん、
他、沢山の皆様方との改めて、
「キセキ」と運命の出会いに感謝です!
 

2021/9/14(火)~2021/9/16(木)の感想と評です

 投稿者:齋藤純二メール  投稿日:2021年 9月21日(火)22時55分15秒
編集済
  わたしのはなし     おおたにあかりさん     9/14


病院の診察室ではなく、待合室にあった「詩とメルヘン」から心の窓が開かれてゆくという、なんて素敵な出会いでしょう。そして、大谷さんが詩を書き始めたきっかけになったのですね。おおたにさんが言うように、キセキでしょう!「詩とメルヘン」の世界に寄り添い、共感を得て心が癒えて「わたし」が表現する新たな世界が広がってゆくという作品がいいですね。
私も作品のおおたにさんと同じ歳ぐらいの時、髪の毛が真っ白になってしまい、黒く染めるため美容院に行っていたのですが、待合室で「ぼくは12歳」岡 真史という詩集に出会いました。そして、私も詩を書いちゃいました。
こちらの作品が私とほぼ同じようなエピソードだったので、びっくりしましたよ。詩は私らしさを引き出し、肯定してくれる名医ですね(出会いはどこかの「待合室」)。
そして、今も詩を書き続けているおおたにさん。また同じことを言ってしまいますが、やはりこの出会いは「キセキ」アンド「運命」ですね!

読み終えるとアンパンマンマーチ「アンパンマンは君さ、元気を出して~」と口ずさんでいました。
評価は「佳作」です。
(漢字に変換されていないところは直してくださいね)





シャープペンを貸して     あさぎさん     9/14


授業中にシャープペンを貸してからの、そこからの壮大な世界が広がってゆくという、これいいじゃないですか! もしかしたら場面が飛躍し過ぎだよ、って言うひとが居るかもしれませんが、これぐらいだからいいんじゃないですか、と私は言いたい。学生の頃に好意を持つひとが自分のシャープペンを使っていることを感じるだけで、気持ちはこれくらいの世界は創ると思いますよ(左利きの彼女っていうのも予感に繋がっているのかな、そんな気が個人的にしました)。背後からせまってくる黒い馬。シャープペンで黒板の文字をノートに書き込む音が「タン、タン、タン・・・・・・」と馬の走る音になっているのだろうか、そこから爽快感を得る。学校での本日の最大イベントでしたね。たかがシャープペンを貸した、されど、ですね。学生時代の気持ちを蘇らせながら、楽しく拝読しました。

「けれど予感は当たる」ここから想像の世界に入るのですが、全体的にストーリー性が重視の作品になっていますので、教室、彼女の設定とその世界を結びつけを絡めた方が、作品の流れは良くなると思いました。例えば黒板が草原、窓から吹く風でなびく君の髪は馬のたてがみ、シャープペンやチョークの書く音が馬の走る音、のようにもうちょい具体的な言葉を使い想像の世界に連れ込んだ方がいいと個人的には思いました。「音が遠のき始める」とあるので、ここから違う世界が広がっています。「予感があたる」の言葉だけで場面が切りかわるのは、ちょっと読み手にとってキツいかな。予感に対する予兆を入れたりして。
「駆け抜けていってしまったのだから/終わってしまった」の連はなくてもいいかな、と。ここの「駆け抜け……」がなくてもすでに終わったことは分かりますので、重複感が強いし説明がなくても充分かと。


馬はもう見えない
それなのに僕は
駆け抜けいった方角を
見つめてしまう


ここの別世界でのシメがいいですね。ああ、終わってしまったなあ、と。

評価は「佳作一歩前」です。迷いましたが、完成度を上げてもらうために厳しめです。





坂道ノート     妻咲邦香さん     9/14


図書館の帰りなのだろうか。いつもの坂道を下りながら心の中にある想い出ノートをめくり記憶をたどる。そして、このノートは未来の余白がまだ残ってはいるという設定の発想がいいですね。
見えてくる風景の表現がとても凝っていてワクワクしながら、目に浮かぶことができます。「ヤモリが飛行機の影をまたぐ」「苔生した桜の木に昼寝を教わる」「狛犬は頁を押さえてくれた」「鳥居が初めて通せんぼする」などの職人技ともいえる言葉の綴り具合が素晴らしいです。一連と最終連での「空色のシャツを着てても坂道は坂道だった」「薄紅のカーディガンがはだけても/坂道は坂道だった」の綴りも構成がこれまたカシャと音がなるくらいハマっていていいですね。
連ごとに場面や内容が飛んでしまっている感じもしますが、坂道での見えてくる風景の切り替えと思えばセーフだと思います。これは読むひとの好みになるかもしれませんが。そして、読者が作者の意図していることを分かりそうで分からない、分かりそうにないけど分かりそうといった表現がこちらの不思議な雰囲気も出している気がします。ただ、それが読後に引っかかりなることもあるでしょう。誰が誰に言っているのだろう、という箇所もありました。これは私の読解力がないからでしょう(二連、三連)。
とても奇抜な表現の作品になっていまして魅力的です。そのために逆に幹がしっかりと通って見えず、枝ばかりに目がいってしまう作品ともいえましょう。奇抜な表現を少し抑えるか、幹(伝えたいことの明確さ)を太くするといいのかな、なんて思いました。

評価は「佳作一歩前」です(一読した時には、これは「こりゃ佳作だ」と思ったのですが、とても魅力ある作品なのでもっと磨いて欲しいということで)。





他者     高山京子さん     9/14


今まで繋がっていただろう関係が、突然にズレてしまい「他者」という断層が現れる。それは友人だったり、職場での人間関係や夫婦間など起きてしまうのでしょう。作品では「自分が変わってしまう」「あなたが変わってしまう」ことから、深い溝が冷たい関係に、と。変わってしまうのはなぜなのだろう? その変わってしまうのは、どういうことなのだろう? という考えに至る作品として私は拝読しました。変わってしまう要因はいろいろありそうですね。
そして、他者と意識してしまったことで、その溝に底知れぬ暗さを感じてしまうのは、まだお互いに今までの関係に未練があるとも言えますかね。まだ、心が完全には関係を断ち切れていないのかも知れません。それが他者と意識することかもしれません。その状況や心境を上手に表現され、興味深い作品になっています。「他者」を意識した時にできた「断層」という表現もいいですね(今まで繋がっていた層がズレた絵が頭に浮かびます)。
ただ、状況や心境からの何か読者に与える核心インパクトというか、もっと心のどこかに引っかかる表現が欲しいなと感じました。ひとつひとつの言葉のインパクトは絶品なのですが……。
一連と最終連が同じ内容で、それが繰り返しの効果が得られていない気がします。最終連にひと工夫があると「おっと、来たなっ」となるでしょう。

評価は「佳作一歩前」です。





鼓動の在処     村嵜千草さん     9/15


悲しみを知ることにより生きている実感を得る。この境地は私がそこに到達したことがないので、共感や理解をすることは今のところできませんが、寄り添うことを心がけて感想を書かせていただきます。

震災で癒ない悲しい心があるのでしょう。どうしようもない悲しみを体験された中学生の時の声が残っているのですね。忘れたくても忘れない悲しみではなく、「私は都度、かなしみを知っているかと確かめる」とありますように、忘れてはいけないと自ずから思っているのかもしれません。そのことによって私が生かされている意味をしっかり持っていられるというこなのでしょうか。そのように拝読しました。この悲しみの心に寄り添いながら、なんらかの癒しにより生きているという実感も知れるよう願っています。





空     エイジさん     9/15


ちょうど今、台風が去り気温は三十度、空はめちゃ青空で洗濯物もさっぱりと乾きそうで気持ちよいです。エイジさんがおっしゃるように空にはカラフルな感情、顔色がありますね。そしてこちらの作品を青空の下で拝読しています(木陰)。カラフルな詩作品になってますよ!そして不思議ですね空は!この作品の恋人は「私も愛しているわよ」と聞こえてくるような青さで、光の微笑みも見せたことでしょう。と、気分が良くなって感想を書かせていただきました。もうプラス二連くらい厚みが欲しかったかな、と。評価は保留にしておきましょう。





百日紅     Lisztさん     9/15


Lisztさんの考察による「百日紅」をたいへん興味深く拝読いたしました。都会の小さな公園にて百日紅を見ながら、とても優雅な庭園にいるような雰囲気を味わいながら、六朝文化の風情を感じ、さらには貴族の誇り高い気風に至るまでの展開となり、ここまで話がスムーズに流れると一気に拝読してしまい、有意義な時を過ごしたなあ、なんてほっこりしましたよ。
百日紅、家の庭に咲いています。まだ幹、枝が少なくちょろろんという感じですが、可愛いピンクの花に癒されています。こちらの作品を拝読して、ちょっと見方も変わるような気がします。可愛いだけじゃないぞ、っと。
とても丁寧に情景を語られ、作品を楽しめる感じになっているのが素晴らしいですね。さらりと公園にいることを伝えている箇所なんて、見事だなあ、と(出だしで公園にいると語らないのがいいですね)。
これは花シリーズでLisztさんにいろいろと書いて欲しいと思っちゃいます。一年を通し季節の花をピックアップし作品にして、一冊の詩集にしたら素敵だなあ、なんて勝手に頭の中で企画してしまいました。

評価ですね。はい「佳作」です。





かえりみち     でんくるさん     9/15


初めましてでんくるさん。齋藤と申します。何卒、よろしくお願いします。今回は感想を書かせていただきます。

帰り道、好意を持つひとのことを思いながら歩いているのでしょうか。学校か職場などでのそのひとの動作を思い出しながら、私と同じように水を飲んだり、足を組んだり、笑ったりする様子になんだか親近感がわいてきたのかな。あなたがどういうひとかもっと知りたいけれど、コロナ禍では外で会ったりも出来ずに残念な気持ちを作品にされていますね。「あなたがもう少しだけバカでいてくれたなら」と。たぶん、そうだとすると関心を持つようなひととなっていないんじゃないかな、とふと思いながら拝読しました。ご自身の気持ちを正直に表現されています。ここが詩の原点だと思います。これからもどんどん詩を書いてみてください。





僕らは     秋冬さん     9/16


初めまして秋冬さん。齋藤と申します。よろしくお願いします。今回は感想を書かせていただきます。

抽象的に語られた作品なので、読者が自身の体験を重ねながら拝読できる作品になっていますね。恋人同士なのか、友達なのか、もしかしたら世界で起きている人類間での問題(平和について)なのか、と読者により違うストーリーで展開されると思います。
私は何か共同作業をしていて、なかなか分かり合えることが出来ずにうまくことが進まず、今は少し距離を置いている状態なのかな、と思いながら拝読しました。何度も何度も行き違いや考えがぶつかるかもしれないが、いずれはお互いが納得し分かち合えるところにたどり着くから、と前向きな気持ちを忘れないようにと語られているようで、好印象な作品と感じました。
僕らはお互いに強くなる。間違いないですね!





雨の心     れもりあっとさん     9/16


雨が部屋に吹き込まないが、窓から(網戸を開け)手をのばすと雨の滴が触れる、雨降りには丁度いい軒の丈なのでしょう(日傘にも)。そんな雨を背にしてお部屋で胡座をかいている情景を目に浮かべながら拝読しました。滝のように激しい雨のようですね([雨の静けさ]に似た/[激しさ]を/感じる。ここが私の想像力の無さでイメージできませんでした)。雨が身に沁み込む雰囲気はとても伝わってくる表現でいいですね。


家の中にて
背後に滝を
雨を感じる


私も雨ふりは好きなので、この感じもいいですね。しかし、雨ふりだとなんだか身体の不調が出たりして、それは歳ですかね。すみません、脱線でした。

心で感じるという滝、雨の鼓動、雨の声、世界の声と想像が膨らんでゆくところも素敵ですね。伝えたい雰囲気や情景の骨格はできていると思います。あとは細かいところを推敲していけば、もっとダイレクトに読者を世界に連れて行けるでしょう。今回の作品においては、リピートしている言葉、なくても充分な言葉などを削りブラッシングすると良いと思います。例えば「食事が/終わり/外は雨」と「はい、雨の話ですよ」のようなそのままの説明はいらないかもしれませんね。



背後の
網戸の先
雨の静けさに似た
激しさを感じる

僕は滝に打たれているんだ
その鼓動を聴く

滝に打たれている人の感覚
きっと
水と一体になれるのだろう

家の中にて
背後に滝を感じる

不思議だな 雨の鼓動

体ではなく
心で感じ 取っているのかも

雨の声 世界の声が
聴けたような

網戸を開け 手を伸ばす
心の奥の 先の方で


例えばこれくらいブラッシングしても作品の骨格がしっかりしていますので大丈夫ですね。もし参考になりそうな時は、ご自身でもブラッシングをお試しください。

評価は「佳作一歩前」です。





夢     麻月更紗さん     9/16


初めまして麻月更紗さん。齋藤と申します。よろしくお願いします。今回は感想を書かせていただきます。

お子さんからいつも「いい夢みてね」と言われるんですね。そして、見る夢は育児から解放された内容。なんだか、その気持ちわかります。子どもはやはり可愛いですが……。でも小さなお子さんがいると、何もかも思い通りに物事が進まず、子ども中心ですから自分の時間も取れず心身ともに疲れてしまいます。もしかして、こちらの作品を書く時間がなんとか現状で唯一、とれる感じなのでしょうか。もっと詩を書く時間がとれるようになるといいですね。こちらの投稿板で表現して、有意義な時間になると嬉しいのですが。たくさんの方が読んでくれますので、良い刺激にもなると思います。
育児でご苦労があると思いますが、ご自身を表現して詩を楽しんでください。次なる作品をお待ちしております。




。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
みなさんお元気ですか?
今宵は満月ですね。今、公園に寄ってゆっくりと月が夜空の雲と戯れているの様子を見ながら楽しんでいます。
そこで一句。

君が月 煌めき溢れし 雲襦袢



https://mobile.twitter.com/mydear2000s

 

青島様、評のお礼

 投稿者:麻月更紗  投稿日:2021年 9月21日(火)18時00分46秒
  青島様
初めまして。麻月更紗と申します。
この度は感想をありがとうございます。
優しいお言葉に、涙が出そうになりました。
毎日、育児に奮闘してます。
本当にありがとうございました。
 

評のお礼

 投稿者:藤代望メール  投稿日:2021年 9月21日(火)15時25分27秒
  青島様、評をありがとうございます。
指摘された部分は自分でも少し違和感の残っていたところです。読後感が独特と言ってもらえて嬉しいです。頂いた言葉を参考に同じタイトルでリベンジしようと思います。今後ともよろしくおねがいします。
 

ハル

 投稿者:妻咲邦香メール  投稿日:2021年 9月21日(火)03時54分44秒
  窓を開けてくれない?
あの青い星、あんなに小さくて
遠い昔、僕たちはあそこから来た
バナナが長くて黄色だった時代の話だよ

数え切れないほど作ったね
始まりだらけの歌と
ご機嫌なミネストローネ
誰のためでもない
全部僕たちだけのもの

いつも時間が足りな過ぎるから
瞳を覗いてばかりだったね
焦がしちゃったパエリヤを分け合って
片眼を瞑ってみせるだけのウィンク
少しずつ増やしていった、わからない気持ちとか
覚えたばかりのストリートの名前
でも綴りが違ってた

雨を見たことあるかい?
ゾウはどんなか知ってるかい?
では悲しみは?
頬が濡れてた理由が知りたい

やっと琥珀の海まで辿り着いた
もうどんな言葉も浮かんで来ない
だから水の音だけ真似てみせたんだ
思わず手を引っ込めた君が
窓の外をずっと見てる
あの星に話しかけるように

いつか誰かがいかした名前を付けてくれる
そう信じて繋いでた手を離したんだ
二人同時にせーのでね

その指先がほんのり温かかったこと
誰にも言わないよ
もちろん君にも

...................................................................
映画「2001年宇宙の旅」に出て来るコンピューター「HALー9000」をモチーフにして書きました。



 

galapa(滝本政博)様、ゆき様

 投稿者:島 秀生メール  投稿日:2021年 9月21日(火)00時45分25秒
編集済
  galapa(滝本政博)様

新しいアドレスに返信させて頂いてますので、
ご覧頂き、ご検討下さい。



ゆき 様

あ、以前来られていた、ゆきさんですね?
これはこれは、お久しぶりのご投稿、
ありがとうございます。


 

雪の中の幻想

 投稿者:ゆき  投稿日:2021年 9月20日(月)23時31分18秒
編集済
  ため息が凍ってしまいそうな程
酷く冷え込んだ早朝に

線路沿いで耳を澄まして
僕は長い間待っていた

積もった雪を弾いて走るその姿は
力強く まるで鉄の要塞
いつか乗ってみたいとずっと思っていた

車窓から凍えそうな世界を
温かいコーヒーを飲みながら
最終地点までの間に
これからの事を考えると
あてのない旅も楽しく思えてくる

周りの景色が少しずつ見えてきて
真っ白い雪が粉のように舞っている

雪が降り積もっていなければ
こんなに明るく見えないだろう

少し寒気がして気が付いた
僕はまた一人
雪の降らない土地で
黒塗りの列車が走る筈のない場所で

幼い頃の記憶の中の
聴く筈のない音を聴いていた
 

島 秀生さま

 投稿者:galapa(滝本政博)  投稿日:2021年 9月20日(月)19時16分57秒
  変更したメールアドレスを送信しましたが、うまく届いたでしょうか。
変更時に一度送信しているので、今回も届いたかどうか心配です。
 

 投稿者:水無川 渉  投稿日:2021年 9月20日(月)18時38分11秒
  「今日は何時に帰る?
 夕飯は家で食べる?
 連絡しろと何度言えば分かるんだ?」

送信ボタンを押そうとして
少し考え
最後の行を削除してから送る

娘へのメッセージは
既読になっても
すぐ返事が来るとは限らない
ずいぶん経ってから
携帯電話に着信があった

「今日は学校の後アルバイト
 それから友だちと夕食
 帰りは遅くなるけど
 心配しないで」

心配しないでと言われて
心配を止める親はいない
年頃の娘が夜道を一人歩きするのを防ぐため
今日も駅まで迎えに行ってしまった
自分の親馬鹿さ加減に呆れながら

駅から出てきた娘は
悪びれた様子もなく
笑顔で助手席に乗り込んだ
どうやら充実した一日だったらしい

好奇心旺盛で社交的
自由奔放でマイペース
この子にはいつも
やきもきさせられっぱなしだ
いつまでこんな日が続くのかと
隣に座る娘に悟られぬよう
そっとため息をつきながら
フロントガラス越しに夜空を見上げる

だが心の底では
娘と過ごす日々がいつまでも
続くことを願っているのだ

それが叶わぬ望みと知りながら



そんな娘も二十歳を過ぎ
海外留学が決まった

彼女が旅立つ日
見知らぬ青年が
空港に見送りに来た
その背の高い好青年は
居合わせたぼくと妻に
礼儀正しく挨拶してくれた

出発ゲートに入る前
娘は青年の胸に飛び込んだ
これから日本に残る彼との
遠距離恋愛が始まるのだという

彼女はぼくの知らないうちに
大きく成長していた
もう昔のあどけない少女ではない
自分の人生を歩み始めている
大人の女性なのだ

彼女は自信に満ちた笑顔で手を振り
颯爽とゲートを通り抜けて行った

ハンカチで目頭を押さえる妻の横で
娘を見送っていると
遠い日の記憶が蘇ってきた

彼女が幼かった頃
自転車の乗り方を教えた
補助輪なしで乗れるようになるまでは
後ろから支えていなければならなかった

ついに一人で乗れるようになり
支えていた手を離すと
娘は歓声をあげながら進んで行った
夕焼け空の下
遠ざかる姿を見送るぼくの胸には
誇らしさとともに
一抹の寂しさが宿っていた

遠い異国に旅立つ娘の姿に
あの日一人で自転車を漕いで行った姿が重なる
娘の成長を喜ぶ思いと
子どもが離れていく哀愁
二つの感情を分離する方法を
親はいつになっても学ぶことができない

家に帰り着くと
妻がコーヒーを淹れてくれた
いつもと同じカフェオレなのに
心なしか苦く感じる
ぼくたちは少し広くなった食卓で
押し黙ったままカップを傾けた



翌日 娘の部屋に足を踏み入れた
昨日までとそっくり同じ調度品
だが彼女はもういない

もうあの子の帰宅が遅くなるのを
心配する必要はなくなった
あの子が帰ってくることは
もうないのだから

不思議だ
さまざまな思いが溢れて来るのに
ぼくの心はこの部屋のようにからっぽのまま
どこかに穴でも空いているかのようだ

南向きの窓を開けて外を眺めると
澄んだ秋空が悪びれもせずに広がっている
その無邪気な青が無性に腹立たしい

そのとき 携帯電話に着信
見ると娘からのメッセージだった

「無事着いたよ
 面と向かって言えなかったけど
 今までいろいろありがとう
 わたしもがんばるから
 お父さんも元気でいてね」

目を上げて
もう一度窓の外に広がる青空を眺めた
この空は彼女のいる異国の空と
つながっているのだろうか
そう考えると この空にも
少しだけ親しみが湧いてきた

子を持つことの喜びと哀しみは
カフェオレボウルの中の
ミルクとコーヒーのように
渾然一体に入り混じっている
その甘味と苦味をともに味わうのが
親であることなのだろうか

ぼくは窓辺に立ったまま
抜けるように青い空を
いつまでも見つめていた

こんなに広く高い空ならば
抑えようもなく溢れてくる
名状しがたいこの思いも
黙って受け入れてくれる気がして

 

/2108