<思いやりのあるコミュニティ宣言>
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※チャングー

 投稿者:エイジメール  投稿日:2021年 5月 4日(火)03時49分44秒
  気がつくと
眩しい光のなかから
音が生まれている
それは雲の上からやってくる

寒気が通ったかと思うと
暖かい五月の陽が射す
子らが嬉しくて遊びまわる

すると天上から
歌声が聞こえ
手拍子が僕の鼓動と
同期するような…
そしてメロディーが揺蕩う

やがて僕らは疲れて
陽が落ちるのを見る前に
家路につく

※チャングーはインドネシアのバリ島の南海岸にある海岸沿いの村と10 kmのビーチ。
 

齋藤さま

 投稿者:るり なつよ  投稿日:2021年 5月 4日(火)00時39分21秒
  初めまして。
この度は詩へのご感想ありがとうございました。

「それらをうまくつかみ取り 育むことができた時」という表現は、実るためには育つ必要があるというごく当たり前の文脈から来ているのですが、ご指摘を頂いて改めて考えさせられました。浮かんできた言葉は軽々しく表現してはいけない、今の自分の身の丈に合っているだろうか、今の自分はこの言葉を表現するに値するだろうかといった検討が必要であると感じ、成長しながら更に洗練させて行く、もしくは洗練させながら成長して行きたいという思いが背後にあったように思います。

新たな気付きを頂きありがとうございました。
引き続きよろしくお願いいたします。
 

陰陽魚

 投稿者:蓮見 丈メール  投稿日:2021年 5月 4日(火)00時27分57秒
  ほんの気まぐれで
互いに互いの尾鰭を咥えた
二匹の濃淡違いの陰陽魚
相手を食らう気もなければ
子を儲ける気もなく
ただ日常の営みから離れて
変わったことを
してみたくなっただけ

尾鰭の推進力を失い
次第に孤島の海鳥が群れる
海面へと浮上して行く
対照をなす二匹の陰陽魚
海鳥の餌食になるかと思いきや
見慣れぬその異様な姿に
恐れをなしたのか
啄もうとする海鳥は一匹もいない

はからずも海鳥の餌食と
ならずに済んだ二匹の陰陽魚
明暗の狭間の海流に乗り
この無意味な行為に名と意義を
与えてくれる者を求めて
海原をさ迷い始めた

昔年老いた青海亀が言っていた
この海の果てには
道理のない戦いに大儀を与え
多くの仲間を欺いたものに名誉を与える
人間という不可思議な生き物がいると
だからそこへ行けば
この無意味な行為にも
少なくとも名と肩書ぐらいは
与えてもらえるのではないだろうか

そんな儚い二匹の陰陽魚の望みは
あえなく大海原の藻屑となって消えた
名も肩書も大儀も名誉も
天を仰ぐ者が望むものの全ては
日常の営みの外にではなく内にあった
それを知らぬ二匹の陰陽魚は
捕食者の待つ島にたどり着くより先に
太陽に焼かれ飢え絶命してしまった
 

雨後

 投稿者:ピロットメール  投稿日:2021年 5月 3日(月)23時35分34秒
  長崎の海と夜景が織り成す きらびやかな光
その輝きの欠片を凝縮したような 硝子張りの美術館
港から吹いてくる薫風に誘われ 溢れる光は 人々を美の世界に導く

一枚の小さな油絵
昭和3年 山本森之助の絶筆という
体調優れず 写生に出かけられぬ画家が
最後の情熱を傾けたのは 自宅の庭に集約された自然だった
画面いっぱいに描かれた丸池
雨あがりの湿った草花
雨に洗われた澄んだ大気の清々しさが伝わってくる
池には 雨後の晴れゆく青空が映り込む
庭の大木の深い緑も 影を落としている
水面には小さな睡蓮が二輪 蓮葉に守られ肩を寄せ合い咲いている
卵色の蓮華は ひよこの如くはかなく頼りない

池のほとりで 一際長い首を傾げる白百合の花
長崎に根付く キリスト教信仰を彷彿とさせる
この先起こるこの町の不幸を知らしめるかのような
悲痛な面持ちの聖母マリアの面影を抱く白百合

十七年後 故郷長崎に原子爆弾が投下されることを画家は知る由もなかった

ふと 丸池から平和公園の噴水が想起された
豊かな水を湛えた平和の泉
公園の緑は 鮮やかに命の芽吹きを見せ
穏やかながらも厳かに吹く風は
この地が爆心地であることを静かに訴えていた

 「のどが渇いてたまりませんでした
 どうしても水が欲しくて
 とうとうあぶらの浮いたまままま飲みました」

水を切望して逝った 痛ましい霊に捧げられた 吹き上がる水沫
刻々と変形する水型は 鳩のはばたきとなり
平和祈念像に虹をかけていた
鶴が羽を広げたかの如き長崎の港
噴水の水が高く高く上がった瞬間
数多の折り鶴が 虹のグラデーションを描きながら 祈りの海に羽ばたいたかに見えた

水に煌めく平和の光
幼子が歓声を上げて水と戯れる
この子らの笑顔を抱きしめるために
間違いを繰り返さず 正してゆくために
永遠の平和を手にするために
今はある 未来はある

雨後の池の閑静な佇まいと
原爆の不幸が訴える平和と
水を通じ 今 向き合う私

描かれた睡蓮と白百合
仏の慈悲と神の愛の象徴は
青銅の悠然とした祈念像につながる
時をこえた祈りは
原爆を知らぬこの絵にも滲み出ている
祈りの像の 原爆の脅威と平和に向けて伸ばした指先には
透き通るような青空と  息づく若葉が広がっている
「雨後」の晴れゆく空にも
清涼な空気の中 洗われた草木の命と共に
静謐な永久の祈りは響く
 

願い

 投稿者:ぷーさん  投稿日:2021年 5月 3日(月)22時17分24秒
  君と願おう
眩い日の出 希望の一日
得られぬ全てが望める時を
君と願おう
例え彩りを無くした世界が
僕らを待っていたのだとしても
今この時が輝くために
 

斎藤純二さま

 投稿者:よしおかさくらメール  投稿日:2021年 5月 3日(月)21時49分38秒
  読んでくださってありがとうございます。
もう一度、この詩と向き合ってみます。
 

織姫

 投稿者:よしおかさくらメール  投稿日:2021年 5月 3日(月)21時39分15秒
  贅沢が交錯した綾織の
夢を拾い集める行為

光は圧力、放電

(密かに密かに見付からぬよう)

畳み掛けられて
きっぱりと拒否する

六等星が
そそくさと視界から出て行った

思考が明日へ繋がり
朝日は私の物だ
 

齋藤純二様

 投稿者:あさぎメール  投稿日:2021年 5月 3日(月)20時14分2秒
  評をありがとうございます。恥ずかしい話ですが、実は私自身は妖精を見たことがありません!見てみたいと願ってはいます。
叶わないとわかったその時は、蝉の羽化、もしくは好きな人をイメージしてみたいと思います。
今後もよろしくお願いいたします。
おーい妖精さーん。
 

詩の訂正と説明

 投稿者:小林大鬼  投稿日:2021年 5月 3日(月)20時03分19秒
  「下館のソンクラン」~字が抜けていました。タオライクラップに訂正をお願いします。

あと入れ忘れたタイ語の説明です。

ソンクラン・・・春の水掛け祭り。実際は詩の通り。
タンブン・・・徳を積むこと。
 

一歩

 投稿者:水無川 渉  投稿日:2021年 5月 3日(月)19時28分24秒
  地上二百メートル
屋上に立つぼくの頬を
初夏の夜風が優しく撫でていた
眼下には
眠りを知らぬ街が広がっている
それは銀河のように美しく
そしてよそよそしい

金や銀の砂粒のような街の灯
その一つ一つの背後には
生身の人間の生活があるはずだが
お互いに干渉することも
関心を持つこともない
数百万の人間がひしめく
大都会の真ん中で味わう
絶対零度の孤独

建物のへりから見下ろすと
ビルの谷間の暗闇の底で
蛍のような車が動いている
まるで誘いかけるように

ぼくは黒い革靴を脱ぎ
まっすぐ揃えて足元に置いた

大きく息をして 一歩
虚空に足を踏み出すと
ぼくの身体は宙に浮いた
重力以外
何にも束縛されない
自由落下(フリーフォール)

両手をひろげ
頭を下にして落ちていく
抱擁を待ちきれず
互いに駆け寄る
恋人たちのように
ぼくと虚無とは
加速度をつけて接近する

地上まではたった数秒のはずだが
その数秒が不思議に長く感じる
ぼくは逆さまの姿勢で落下しながら
目の前をスローモーションで流れていく
ビルの窓を見ていた

四十二階のオフィスの外を通過
ついさっきまで残業していた
職場という名の拷問部屋には
まだ灯りが点いている

ぼくのデスクの上には
やりかけの仕事が残っているが
もうそこに戻ることも
横暴な上司や
陰険な同僚と
顔を合わせることもない

三十九階のレストラン
窓際の席で食事をしている男女
外を眺めていた女性と目が合う
彼女の顔が恐怖に歪むのを
ほほえみながら眺めやる

ちょうど同じような店で
昔の恋人と別れ話をした時も
彼女はぼくと目を合わせようともせず
夜景ばかり見ていたっけ

でも それももう
どうでもいいことだ
あと数秒で
ぼくが地球と一つになる時
この星がぼくにした
すべての仕打ちから
自由になれるのだから



二十四階のカフェ
ポニーテールの女性が
窓際のテーブルを片付けている
彼女の顔には見覚えがあった

その瞬間
数日前にその店に行った時のことが
まざまざと脳裏によみがえってきた

仕事に いや人生に疲れ
しばしの休息を求めて
立ち寄ったカフェ
いつものブラックではなく
砂糖とミルクを入れ
ホイップクリームまでのせた
コーヒーを注文した

ポニーテールのバリスタが
優しい笑顔で手渡してくれた
ラージサイズの紙コップには
手書きのメッセージが記されていた

 お疲れのようですね
 これで少しでも
 元気になってください

特に悪い気はしなかったが
どうせどの客にも書いている
社交辞令だろうと考え
すぐに忘れてしまった

だが今
その言葉とともに
彼女の純真そうな瞳が
まぶたの裏に浮かんでくる

あのコーヒーは
あたたかく そして
甘かった

せめて
ぼくに残された
地上までのたった数秒だけでも
信じてみようか
人の心のぬくもりを

信じてみようか
ほんとうの自由とは
生の苦しみから
逃れることではなく
そのただ中で
すべてを受け入れ
すべてを許し
その中に隠された
美を見いだすことだと

その時はじめてぼくは
心から生きたいと思った

車の行き交う夜の大通りが
目の前に迫ってくる
風を切り裂いて落下しながら
両目から溢れた涙が
重力に逆らい
頬を伝って流れた

すべては遅きに失した
だがもし人生を
やり直すことができたら
きっとぼくは……



目が覚めると
まだあたりは暗かった
枕が寝汗と涙でぐっしょり濡れている
枕元の時計を見ると
朝の四時を回ったばかりだ

棺桶のようなベッドから這い出し
キッチンに行くと
グラスに水を満たして
一気に飲み干した

続いて洗面所に行き
冷たい水で顔を洗うと
ようやく頭がはっきりしてきた

洗面台の鏡に映る自分の顔は
頬がこけ 目の下にくまはあるが
うっすらとひげが伸びていた
あごを撫でると
ひげが手のひらを刺激する

まだ生きている

窓際の椅子に座り
ぼんやりと考える
恐ろしい夢だったが
現実でなくてよかった

昨日までは
生きているのが苦しかった
今はいのちのありがたみが
心に沁みる

窓から外を見ると
東の空が白みかけている
新しい一日が始まろうとしていた

今日も 仕事に行こう
そして休み時間には
ポニーテールの娘のいる
あのカフェに行ってみようか

その時思った
もしかしたらぼくは
やはり死んだのかもしれない

死に囚われていた古い自分が死に
新しい自分が生まれたのだ



午前七時
朝食とシャワーを済ませ
きれいにひげも剃ったぼくは
スーツに着替えると玄関に出た

そこにはいつもの黒い革靴が
まっすぐ揃えて置いてあった

しばらくそれらを見つめたあと
両足をそっと滑り込ませた
足をぴったり包む革の感触
生きている実感が
足元から伝わってきた

ぼくは大きく息をしてドアを開け
光に満ちた世界に
一歩
踏み出した







 

/1993